子どもを日本に連れ去られたときの対処法
国際結婚の場合、夫婦関係が悪化すると一方の親が海外に子を連れ去ってしまうといった問題に発展することがあります。
実際に外国から日本への連れ去り事件は相当数起きており、「誘拐」又は「拉致」として逮捕状が出される事例もあります。
今回は、子どもを日本に連れ去られたときの対処法について詳しく解説いたします。
子の連れ去り事案では早急な対応が必要
国境を超える子の連れ去りは、刑事事件となり得るだけでなく、子どもにとっては生活環境が大きく変わり、様々な悪影響が生じるもので、子ども自身も非常に不幸な状況に置かれることとなります。
そのため、子の連れ去りが生じた場合には早急な対応が求められます。
ハーグ条約について
外国から日本への連れ去り事案に関しては、ハーグ条約に即して判断がなされます。
ハーグ条約とは、1980年に採択され,1983年に発効された「国際的な子どもの奪取についての民事上の側面に関する条約」のことです。
ハーグ条約は,①監護権の侵害を伴う,②16歳未満の子どもの,③国境を越えた移動を適用対象としています。
子どもが日本に連れ去られた場合はどうすべきか
配偶者によって子どもがハーグ条約の他の締約国から日本へ連れされられた場合や、ハーグ条約の他の締約国に居住していた子が日本から居住国へと戻ることを阻害されている場合には、ハーグ条約に基づき、外務省に対し、外国返還援助の申請を行うことができます。
もっとも、申請の対象となる子が16歳に達している場合や申請の対象となる子が在日していないことが明らかで、かつ、所在している国または地域が明らかでない場合など、一定の場合には申請は却下されることに留意する必要があります。
外国返還援助の申請がなされた場合、審査が行われ、援助決定がなされれば、話合いによる解決の促進が図られます。
話合いによる解決や裁判所によるこの返還決定が確定した場合、外務省は、子を本来の居住国に安全に返還するため、返還後の現地における生活支援や福祉等のサービスに関する情報の提供や在外公館における相談対応などの支援を行います。
この際、子を連れ去った親が子を日本国外に連れ出すことを防止するために、この返還申立事件が継続する裁判所に対し、出国禁止命令の申立てやこの旅券提出命令の申立ても行うことができます。
話し合いによる解決が見込めない場合には、上記援助申請とは別に東京家庭裁判所又は大阪家庭裁判所に対し、子を返還するための申立てを行うことが可能です。
まとめ
本稿では、子どもを日本に連れ去られた場合の対処法について解説してきました。
子どもを連れ去られたという不安な状況の中で、相手方と話し合ったり、裁判手続きを自分自身で行ったりするのは、相当な負担となります。
そのような場合には、手間のかかる裁判手続きを一任でき、相手方との交渉も代理することができる弁護士へ相談することをおすすめします。
舟渡国際法律事務所は東京都文京区で国境超える連れ去り事件をはじめとする様々な案件を扱っております。
お悩みの際はお気軽に舟渡国際法律事務所へご相談ください。